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2008年8月18日 (月)

竹中平蔵「ブラジルを特別扱いせよ」

Nipponnotsukurikata

ビザの免除が実現されれば
ブラジルを訪れる日本人にとって喜ばしい限りですが
逆にブラジルからの入国も・・・
不法滞在者を助長する結果が心配でもあります

遠くて近い国・ブラジルを特別扱いせよ
ビザの免除やバイオエタノール協定の実現を!

上田 今回は、最近急成長を続けている「ブラジル」を取り上げます。

 ブラジルと言えば、私にはせいぜいサッカー王国、リオのカーニバル、コーヒー豆、アントニオ猪木くらいのイメージしかありません(笑)。竹中さんはブラジルに行かれたことがありますか?

竹中 私は2回ありますが、飛行機で24時間、丸1日もかかるので、「とにかく遠かった」というイメージが強いです。1度は往復6日間の旅程でしたが、ベッドの上で寝たのはわずか2回だけ。地球儀を見るとちょうど日本の裏側にあり、我々にとって「地球上で最も遠い国」です。だけどこの国、実は「非常に遠くて近い国」でもあるんですよ。
 
上田 「遠くて近い国」ですか…。 では、ブラジルとはいったいどんな国なのか、おさらいしてみましょう。ブラジルは、南半球最大の国で、面積は日本の約22倍もあります。人口は約1億8000万人ですが、実はその0.8%、約150万人が日系人なんです。

BRICsでは最注目の「資源大国」
「未来の石油輸出国」の呼び声も

上田 ブラジルと言えば、「BRICsの一角」としても有名ですよね。BRICsとは、先進国に追いつく勢いで経済発展が著しい新興国。Bはブラジル、Rがロシア、Iがインド、そしてCが中国(チャイナ)です。

 ブラジル経済は、1998年の通貨危機で大きく落ち込みましたが、その後回復して2002年以降は急成長しています。国民の1人当たりGDPは8000ドル以上とロシアを追い抜き、中国とインドには大差をつけています。

 注目すべきは、資源国なので、原油高や米国のサブプライム問題の影響をあまり受けていないこと。主な資源は鉄鉱石ですが、昨年大油田が見つかり、今後は石油の輸出国にもなると予想されています。まさに経済は絶好調ですよね。

竹中 ブラジルは、徹底した金融引き締めで90年代のハイパーインフレを克服しました。日本と同じく、高度成長時代と「失われた10年」を両方経験している。その教訓を基に、経済を軌道に乗せてきたんです。

 1人当たりGDPはアジアで言えばマレーシア程度、日本の5分の1の水準ですが、どんどん伸びています。また、農業国のイメージとはうらはらに、世界第4位の航空機メーカーがあって工業もさかんです。

 最近注目されているのは、農産物からアルコールを作り、それを燃料にする「バイオエタノール」。このように、実は世界最先端の技術や実績を持っている国なんです。
 
上田 最近は高い失業率など、不安要素もあるようですが、確かに大きな可能性を秘めた国ですよね。何と言っても約150万人もの日系人がいるというのは驚き。これは世界的に見ても相当多いはずです。

竹中 そうですね。実は今年は「日系移民100年」の節目に当たります。今を遡る1908年、神戸港を出港した「笠戸丸」で、日本人移民約790人が2ヵ月もかけて初めてブラジルに到着しました。

 しかし彼らは、気候や風土が日本とまるで違う現地で大変な苦労を余儀なくされました。その子孫が増えに増えて、今や150万人。これはアメリカ系移民の100万人を凌いで、断トツで世界1位の多さです。

 2年前に現地に行き、ルーラ大統領にお会いしたとき、「ブラジル社会における日系人への敬意はすごい」と言われたことを覚えています。移住した日系人が農業に従事して、ブラジルの農業を強くした結果、食生活まで変えてしまったからです。

 かつてブラジルでは豆が主食でしたが、今や主食はコメになっています。リンゴも移民によってもたらされたもので、現地の市場では「フジ」と日本の品種名で呼ばれているほどです。

 また彼らは、非常に貧しい生活にもかかわらず、最優先で子供たちの学校を作ったそうです。現在、サンパウロ大学の学生の15%、教員の8%が日系人というから、これは相当な数ですね。日系人はいかに勤勉かがわかるでしょう。
 
 実は、その日系人約150万人のうち、現在約32万もの人が日本に来て住んでいるんです。私は、彼らを日本とブラジルの外交の中核に位置づければよいと思っています。

上田 なるほど。ブラジルの日系人はそんなに存在感があって、われわれに身近な人々なんですね。

回答者の7割強が「日本びいき」
地球の裏側・ブラジルとの意外な絆

竹中 ブラジルで日本についてのアンケートを行なった結果、驚くべき結果が出ました。

  「今後関係を強化すべき国はどこか」という質問で、アメリカに次いで日本が2位、「日本とブラジルは友好的か」という質問には4分の3が友好的、「日系人はブラジルの発展に貢献したか」という質問には、7割強の人が「貢献した」と回答したんです。日本にとって、地球上で一番遠い国の人々が、これほど日本に興味を持ってくれているんですよ。

上田 「遠くて近い国」と言うのは、そういうことなんですね。では、日本人はブラジル人をどう見ているんでしょうか?

竹中 世界の色々な国に行くと、トヨタの自動車が走って、パナソニック(松下電器産業)の電化製品を皆が愛用していますが、「日本人の顔」はいまいち見えません。逆にブラジルは、日本人の存在感が強い割に、トヨタやパナソニックのイメージが薄い。そういう国は珍しいと思います。

 たとえば、お隣の韓国との付き合いも重要ですが、韓国は日本に一番近い国で、ブラジルは物理的に一番遠い国。一番近い国と一番遠い国を両方重視して外交を進めるというのは、日本の外交戦略上も意味があるはずです。そこで今回は、「ブラジルを特別扱いせよ」と声を大にして言いたい。

上田 それは、具体的にどういうことなんですか?

竹中 1つは「ビザの免除」です。現在、日本人がアメリカや韓国に行くときにはビザが要りません。でもブラジルに行くにはいまだにビザが必要です。相互訪問を活発化するためには、ビザの免除は必須です。

 現在ビザが免除されている国は62ヵ国もありますが、日本とブラジルの深い関係を考えれば、ブラジルもビザを免除して当然でしょう。かつて日本人がブラジルで苦労したように、現在日本にいる日系ブラジル人も苦労しています。せめて行き来くらいは自由にできるようにしなくては。
 
 2つ目は「バイオエタノール協定」の実現。バイオエタノールは、農産物からアルコールを作って自動車などに使う新しい燃料です。原油から作るガソリンはいつか枯渇しますが、太陽が照り続ける限り農産物は作れるので、バイオエタノールは枯渇しません。

現地で目立たない日系自動車メーカー
「バイオエタノール協定」実現がカギ

竹中 ブラジル国内の自動車販売のシェアを見ると、1位がイタリアのフィアットで、ドイツのフォルクスワーゲンやアメリカのGMがそれに続きます。しかし、世界に冠たる日本のトヨタ自動車やホンダは、わすか3%程度のシェアしかありません。

 これは、現地で需要が拡大しているフレックスカー(ガソリンとバイオエタノールの両方で動く車)の市場で出遅れているためであり、日系メーカーのフレックスカーのシェアは、フィアットの8分の1程度なんです。

 もっと日系メーカーの顔が見えるようにするためにも、「バイオエタノール協定」は重要だと思います。ブラジルの農産物からできるバイオエタノールは、原油がない日本において、「代替エネルギー」としてもなくてはならないものです。

上田 しかし、バイオエタノールは「世界各国の食糧高騰の原因になっている」とも言われています。

竹中 その通りです。アメリカやブラジルがトウモロコシなどを使ってエタノールを大量に作っているため、穀物価格が高騰しています。しかし、長期的な観点から見れば、ガソリンはやはり枯渇していくエネルギー。農産物から燃料を作ることは悪いことではありません。短期的な値上がりだけで、バイオエタノールの是非を論じるのは、よくないと思います。
 
 かたや、ガソリンが主流の日本は、まだまだバイオエタノールの利用に消極的です。世界では、自動車燃料にバイオエタノールを10%くらい混ぜて使うのが一般的ですが、日本はまだ3%程度です。トウモロコシが高いなら、沖縄のサトウキビも使って、技術開発をやっていけばよいでしょう。

 ブラジルもアメリカも、日本の技術水準の高さに注目しています。ブラジルにバイオエタノールを供給してもらい、日本が技術力を提供するなど、「共同開発」を行なえれば、まさに理想的ですよね。
 
上田
 よくわかりました。今後は、日本とブラジルの関係をもっと注意深く見守って行きたいと思います。

『竹中平蔵・上田晋也のニッポンの作り方』
経済学者・竹中平蔵と、くりぃむしちゅーの上田晋也が、楽しくわかりやすく日本の経済を解説する知的エンターテインメント番組。

第19回「遠くて近い国・ブラジルを特別扱いせよ」放送時間
BS朝日 8/17(日)夜8時~、8/24(日)午前11時30分~
朝日ニュースター 8/22(金)夜10時~、8/24(日)夜10時30分~、8/25(月)午後3時~

●番組ホームページ
http://www.bs-asahi.co.jp/ (BS朝日)
http://asahi-newstar.com/ (朝日ニュースター)

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受信: 2008年8月30日 (土) 17時15分

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